離婚問題解決支援サイト「より良い明日を求めて」−コラム・・離婚問題
コラム:離婚問題に関する管理者の主張や日々の思い
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ちょっと長いですが、お付き合いください

円満離婚のススメ(2007/11/11)

できれば協議離婚を勧めたい

離婚相談では、当然に夫・妻の一方からの言い分を聞くことになります。
弁護士のように示談・裁判が仕事であれば、当然相手方の言い分に触れることになります。
弁護士は、受任後にむしろ相手方に正当性があると感じたとしても、自分の依頼者が勝つための理論武装をしなければなりません。
『相手からひどい目に遭ったから、社会的制裁を与えて欲しい』『相手が悪人としか思えない』などという、もはや円満解決など到底望めそうにないような相談は、最初から弁護士にお願いしたほうがいいということになるでしょう。

調停は裁判と異なり、あくまで公の話し合いの場ですから、そこに求められるのは話合いによる結論です。
しかし、調停の段階で弁護士に依頼するともなれば、弁護士は、裁判に移行することも見据えて、依頼者の意向に沿った『勝つ』ための仕事をしますから、相手方ものんびりと構えていることはできなくなります。
話し合いとはいえ、双方がある程度の『戦闘モード』にならざるを得ません。

行政書士はそのような争いの中に踏み込んで行くことが仕事ではありません。
お互いの協議が終わった後の、あるいは、今後争いにならないように丸く治めるための書類作成が仕事なのです。
私個人的には、『相手を懲らしめてやろう』という気持ちは、後で自分にとってつらいものになって戻ってくるような気がするものです。

とはいえ、少なからず争いがあるから離婚という結末になるということも確かです。
100%満足とは行かない不満や虚しさを残してしまうのが離婚です。
たとえそうであれ、それらの満たされなかった心をどのように昇華していくかを考えれば、人は、過去を早く忘れ去り、これからの未来に向けて希望を持つ以外ないのだ、と思います。
徹底的に争うにはお金も時間もエネルギーも必要な分、精神的ダメージも、争わなかったときとは比較にならないほど大きなものになることもあります。

いっぽうで、自分の主張が一切誰にも認められず、かといって争うこともできずに離婚し、割り切れないまま相手に対する怨みが募り、悶々とその後の日々を送ってしまうような場合には、調停・裁判というはっきりした決着をつけることも必要でしょう。

要は、心の整理をつけて次の人生へのスタートをきれるかどうかなのだと思います。
日本の裁判離婚はわずか1%です。
決着までには長い時間を要します。
離婚の紛争の場合、調停前置主義といって、調停を経てからでなければ裁判には臨めません。
そのためには大概の場合、前提としてまず別居という大作業があるでしょう。
調停は月に1度程度しか行われず、わずか2時間程度、1人に与えられる時間は1時間弱と考えてよいでしょう。
そんなまどろっこしさの中で、『自分はいったい何をやっているのか?』というような焦燥感や虚脱感、『もうどうでもいい』という諦めの気持ち、そんなことでお互い疲れ果て、恨みも薄らいでいくのがほとんどの実態かもしれません。

そう、人間は同程度の恨みをずっと持ち続けるようにはできていません。
辛かった過去を糧として、今後の生きる力に変えていく方法を知っています。
そのために最も必要な作業が、相手に対する攻撃のエネルギーのほんの一部でも自分に向け、自分を振り返るということ、月並な言葉で言えば自分に対する反省だろうと思います。

ほっとした言葉

先日、書類作成を依頼されたお客様の相手方のこんな言葉に触れる機会がありました。

『私にも悪いところがあったのだから、…』

この言葉は、なぜか私をほっとさせる強烈なインパクトとして残りました。

なぜ、こんな簡単な、どこにでも転がっている言葉が、こんなにも聞けないのか、という気持ちにもなりました。
この一言は、私に、この方は今後二度と離婚というような不幸な事態にはならないだろうと実感させるに十分な言葉だと思いました。

この夫婦の離婚原因は不貞、つまり、私の依頼者が有責配偶者であったわけですが、そのことに対してすでに相手を責めてはいないのです。

3組に1組が離婚するような時代です。
ネット世界では誇張してとりあげられていても、現実の離婚の大半は『性格の不一致+α』が原因なのです。
日本という国は、極端なDV・モラルハラスメント、一切家庭を顧みず繰り返される悪質な浮気というように、悪人が犇いているような国ではないのです。

生まれ育った環境や受けた教育などまったく違う男と女が結びつくのが結婚です。
価値観、行動パターン、経済観念、家庭のあり方や子育てに対する考え方、日常生活でのちょっとしたことなどあらゆる面でお互いを認め、許すには、お互いの譲歩や我慢といったものが必ず必要になります。

こんな些細なことから、…

こんな話があります。
読書好きの夫がいました。
ある日、妻が夫にこんなことを言います。

『図書館の本や古本は家に持ち込むな』と、…

その理由は、『誰が触ったか分からないものだから、不潔だ』ということでした。
夫にとっては、結婚前にはそれこそ予想だにしなかった観点から自分の趣味を否定されたのです。
きれい好きは、むしろ妻の長所と思って結婚したのに、…

その他にも夫は常に石鹸で手を洗うことを妻にチェックされ、夜寝る前にトイレに入ると、もう一度風呂に入って身体を洗い直してこなければ布団に入ることを許されません。
家庭での立ち居振る舞いの一挙手一投足に、いつも妻が何を言い出すかに対してピリピリと身構えていなければならず、妻の意向にそぐわないことはまるで『人でなし』のように扱われてしまいます。

これでは夫は、とても家庭に安心を求めることはできません。
妻に対する夫の気持ちは、徐々に『オレの身体がそんなに汚いのか』『オレがそんなにきらいなのか』というようなやりきれないものとなっていきます。
唯一の趣味までそんな理由で否定されるようでは、家庭への足が遠のき、夫婦の関係が冷めていっても仕方ありません。

このように、ほんの些細な感覚の違いからでも、一方からの絶対に妥協を許さない強制や束縛があれば、簡単に夫婦関係はほころびてしまうこともあります。
妻は、夫に対しごく普通の人にはない生理的な嫌悪感を一方的に主張し、強要しているわけです。
もし、この場合夫がちょっとしたきっかけで安心できるような女性と浮気するようなことになったとしても、私がこの事情を身近に知っていたら夫を一方的に責める気にはなれないかもしれません。

しかし、法律的には100%夫が悪いから、慰謝料を払えということになるのでしょう。

これはこれで法律に従って仕方ないとしても、問題はその後です。
自分の正当性が公に認められ慰謝料を勝ち取った妻が、自分を振り返らず無反省に次の人生をスタートすれば、また同じ過ちを繰り返してしまうことになりかねません。
法律を最優先に考えることが必ずしも人の幸せに繋がるということではないのです。
法律にはこんな冷たい側面があります。
10年の結婚生活で9年11ヶ月相手を思い、尽くしたとしても、その100分の1未満のわずか1ヶ月に不法行為があれば、10年間丸々相手を苦しめたように見なされることもありえます。
たとえ裁判官でさえ、長い夫婦生活の実態や真相の中に入っていくことは困難なのです。

第三者に任せる前に

相談のお話を聞く中で、『おやっ』と思うことがあります。
『それくらいは許してあげたら?』という部分が往々にしてあるからです。
不幸にして離婚という結末になったとしても、まるで『罪をあがなえ』というような姿勢になってしまうこと、特に子供さんがいる場合、父親(母親)を犯罪者扱いにしてしまうような決着は避けたいものです。

夫婦間で協議を進める際、相手を徹底的に痛めつけなければ気がすまないという気持ちで最後まで臨むことを私は勧めません。

離婚の協議を『交渉事』と捉えるのは嫌な気持ちもあるでしょう。
しかし、その話し合いは交渉以外の何物でもない、ということもできます。

交渉となれば、双方が納得の上の結論が最も大事となります。
これが第三者の手を借りてジャッジする裁判による決着とは根本的に異なるものであるのです。
交渉が譲歩なしに進むことはないと言ってもよいでしょう。
それは、対等な1対1の人間がお互いの正邪を決めるのではなく、悪は悪としてもそれを『許す』という、人間にしかない心をもって当たらなければ、相互に納得のいく解決はできないのだと思います。
そして、ほとんどの場合夫婦はそれができるのだとも思います。

謀略によって意思に反して無理やり結び付けられた夫婦でもない限り、愛情が深ければ深いほど結果的に裏切られたことによる憎しみは深いものになるでしょう。

しかし、傍から見ていくら憎しみあっているように見える夫婦でも、長い年月を経ていれば、楽しい思い出や、嬉しかったこと、たくさんあるはずです。
第三者が代理人を引き受けたとしても、とても入り込めない世界が当事者同士にあるはずなのです。

相談を受けた人が、『それはひどい』とばかりに正義感を持って、できるだけ多くの慰謝料をもらうことに協力してあげようとがんばったら、案外依頼者の恨みはそれほどでもなかったという例は、意外と多いようです。

助言程度は参考にしたとしても、あくまで当事者の1対1、大人同士の二人の意思を尊重した結論を、二人の力で導き出していただきたいものです。

訳知り顔で人の間に割って入り、どちらが悪いなどと判定するような行為は、いかにキャリアを積んだ専門家であってもすべきではなく、それはどちらか一方に対し、人としての尊厳を踏みにじる行為とも言えます。

第三者が入り、人を裁くという行為はかくも重いものです。
その後のその人の人生を決めてしまうような重大な行為を、少なくとも私は進んでしようとは思いません。
裁判においては、法律や判例にとらわれて、それこそ双方とも納得のいかない判決もありうるわけです。
さほど争点がないにもかかわらず、安易な気持ちで『公正な目でジャッジしてもらおう』と裁判に持ち込むようなことは避けるべきだと私は思います。
極端な言い方をすれば、自分の運命を他人に預けてしまうような面もあるでしょう。
結局は、『何も分かってくれない他人』『自分の思い通りにはならない他人』をお互いが感じてしまうことに終わるのではないかという気がします。

大事なのはこれからの人生

離婚問題の解決は、それまでの生活の清算という意味合いより、これからの双方の人生の再スタートにとってより良い解決になることに重きを置くべきだと私は思っています。
他人に裁かれ命令されるような解決方法より、完全な満足とはいえなくても双方納得の上での解決のほうが良いに決まっています。
失敗によって成長することがなければ、失敗はただの『痛くて思い出したくない思い出』でしかありません。
離婚を機にそれまでの人生の総括をして、反省すべきは反省し、次の人生に生かすことこそが大事なことなのです。

お互いが相手の次の人生に対してエールを送れるような気持ちになれること

それにはお互い憎しみ合うことをやめ、相手への攻撃をやめ、謙虚に自分を振り返ることが大切です。

『私にも悪いところがあったのだから、…』
そんな言葉をお互いが聞けたとすれば、離婚後もお互いの立場を尊重し合い、二人の間の子供たちのためにという共通の目標を最優先できる『理想的な他人同士』になれるのではないでしょうか。

行政書士としての私の役割は、相談者に対して対決姿勢を煽ることではありません。
お互いを許すところは許し、譲るところは譲る、素直で謙虚な心を持って双方が穏やかに話合いができる環境を作り出すための努力こそ、我々行政書士の使命なのであろうと思います。

人は、裁判によって結婚するわけではありません。
離婚も二人だけの意思で、合意の下に決められる協議離婚が理想なのだ、と私は常々思っています。
他人に決められた『二人の約束』というものは守られにくいと思ってよいでしょう。

『裁判で極悪人のように言われてしまった』という夫の嘆きを聞くこともあります。
調停段階ではまったく主張しなかった『子供はオレの子ではない』とか『妻も浮気していた』などという、言われなき反撃を裁判の場で夫から受け、大いに傷ついた妻の例も聞きました。

根拠のない嘘は裁判官も容易に見抜くことができますが、民事においては『偽証』の概念の適用がなく、このような発言を止めることができません。
言い換えれば、裁判は、それほどに熾烈な泥仕合の場所でもあるのです。
調停・裁判でいかに権威ある調書・判決書を得たとしても、養育費などは結果的に途中で払われなくなることが多く、後々のトラブルを抱え、過去を引きずってしまう原因はこの辺にあるのではないでしょうか。


※ 本文は、双方が話し合いの余地がある場合の心構えとしてご参考になればと思い、書いたものです。
相手方に一切話し合いに応じる見込みがなく、やむなく調停を申立てられる場合は、以下の『離婚調停をひとりで戦うために』を参考になさってください。
協議か調停・裁判かの選択以前の問題として、大変な時間と費用の壁により、多くの方がやむなく協議離婚を選択せざるを得ない厳しい現実もあります。


離婚調停をひとりで戦うために(2007/7/9)

離婚調停とは

現在、離婚調停は全国各地で年間6万件以上行われています。
しかし、結果的に調停離婚となるのは2万件あまりですから、計算上3分の2の方が合意に至らないことになります。

言うまでもなく、調停は双方の話し合いの場所であり、裁判所の命令や判決の下るところではありません。
たとえ最善を尽くしたところで相手方が従わない、あるいは出席しないことなどにより「不調」という結末になります。
現在の法律では、弁護士以外はたとえ親兄弟であれ、本人の代理人や付き添いとして調停の場に立つことはできません。
しかし弁護士は人数も少なく費用も相当な金額を要するため、大半の方ははじめての慣れない調停の場で「ひとりで闘う」ことになるわけです。

離婚の争いでは徹底的に闘うといっても、「調停前置主義」といって調停を経ずにいきなり裁判を行うことはできません。
裁判においては確実に法律のジャッジがくだり決着がつきますが、調停→裁判に要する時間とお金、エネルギーはたいへんなものとなります。
できれば早期に調停で決着をつけたいのは、誰しもの当然の願いです。

しかし前述のように大半の方は調停での決着を見ていないわけですから、結果的にやむを得ず不利な条件で離婚したり、意に反して離婚できず我慢の日々を過ごしているのが実情かと思われます。
もちろん運よく優秀な弁護士を見つけられた方は、調停で決着しなくても裁判で希望に近い判決を勝ち取れるのでしょうが、そのような費用と運と時間の余裕に恵まれた方はごく少数です。
大半の方が泣き寝入りに近い形で理不尽な思いをされています。

「法律は弱者の味方ではなく、法律を知る者の味方である。」とはよく言われます。
配偶者をひどい目に合わせた上に経済的にも追い込んだ末、最後は責任を逃れられるようなことがまかり通るのです。

本サイトは、「離婚問題解決支援サイト」の名前どおり、ひとりで自力で問題解決をしたいという強い意志を持った方を応援することが主旨です。
そのような方に少しでもお役に立てるよう努力し続けます。
ぜひ、ご参考になさってください。
 

調停に向かっての心構え

依頼心を捨てること 

離婚調停に臨むにあたって、最も大切な心構えは、弁護士などの専門家に頼めば何とかしてくれるというような気持ちにならないことでしょう。

現在、全裁判所は年間150万件の裁判や調停を抱えています。
これに対し、全国の弁護士の数は2万人強です。
家庭裁判所での離婚調停は6万件程度です。
この数字をどう思われるでしょうか?
「あなたひとりの離婚問題にかかわっているヒマなどないのですよ」という声が聞こえそうな実態です。

私の住んでいる大阪の大阪弁護士会のサイトには「弁護士検索」というページがあります。
弁護士を地域別や扱い業務別に検索することができます。
そこには大阪の弁護士で2100人ほど登録があるようですが、離婚問題を扱うかどうかで検索すると4〜5分の1程度の4百数十人に減ってしまいます。
おそらく地方ではもっと厳しい数字になるでしょう。

裁判・調停は弁護士しか担当できないが、絶対数があまりにも少ないということです。
しかも弁護士法には「受任義務」というものがありません。
仕事を請けるかどうかは弁護士の自由意志だということです。
「一見さんお断り」であっても、この件数と人数からすれば無理もありません。
弁護士探しは困難を極めます。

一方で、我々行政書士は、依頼者の代理人となり、裁判や調停に席に座ることはおろか、申立書を代筆することすらできません。
法律に反しない範囲での助言程度しかできないのです。

たとえ運よく弁護士が見つかったとしても、弁護士の業務は多忙です。
婚姻期間の長い夫婦の内情を少ない時間で把握するなどということは、いかに優秀な弁護士であっても困難なことです。
弁護士の尻を叩いていれば大丈夫と思い、調停の場で弁護士に任せきりだったために、言いたいことの半分も言えなかったというようなことも出てきます。
問題は本人の依頼心だと言わざるを得ないでしょう。

私の相談者でも、最初から「どうしましょう?」という姿勢の方は解決が難しいものです。
場合によっては、離婚するかどうかさえ決めずに来られる方もおられます。
「先生に決めて欲しい。」ではお話になりません。
逆に、すべて方針を自分で決め、条件も決めて、申し分ないほどさまざまな資料を抱えて、「私はこうしようと思っているが、どうですか?」と確認を求められるような方は、解決も早いということになります。

調停は、場所が裁判所とはいえ、裁判所からの決定が下るわけではありません。
自分の配偶者のひどさを他人に聞いてもらうためだけに行く場所でもありません。
夫婦の間でいくら話し合っても解決しなかった、または最初から全く話し合いにならなかったから調停に行くことになるわけです。
単にそれまでの夫婦のいさかいの延長線上で自分の不満を並べ立てて、「誰かが分かってくれるに違いない」という他力本願では、自分の運命を安易に他人の判断に任せることにしかならず、決して満足の行く結果は得られません。

「これからの自分と子供の人生がすべてかかっているんだ」という強い気持ちで臨み、綿密な計画を立ててください。

相手を恐れない毅然とした態度

あくまで調停は戦いの場であると思ってください。
たとえ原因が夫の暴力であったとしても、それまでのように恐れてはいけません。
また相手が弁護士をつけてきたとしても怯んではいけません。

まず、自分の言い分のほうが絶対に正しいという確信を得ることです。
そのためには、離婚に関する法律知識を叩き込むことや、調停の前に専門家の意見を聞くことも必要でしょう。
調停がいくら譲り合いの気持ちが大事とはいえ、こちらが300、相手が100だから、間をとって200にしましょうという商取引のような場所ではないはずです。

心配されるのは、妻が長年のDV被害などに会って、欝病や不安障害などに陥っている場合です。
実はこのような方が現状では非常に多いのです。
最悪の精神状態で調停に臨めば、いくら事前準備を万全にしたからといって、いざ本番のときになって、相手が目の前にいない別席調停であっても、恐怖感に襲われたり、過呼吸の症状が出たりでは、思うに任せないことになります。

何よりこんな人は長年「自分さえ我慢すれば、」とか「自分が悪い」と思い込んでしまうことを経験し続けていますから、肝心のところでつい弱気になりがちです。
親権などが争点の場合、安易に自分の弱さで夫にそれを譲ってしまうようなことになると、自分ひとりの問題ではなくなってきます。

難しい判断になるかもしれませんが、調停の精神的圧迫に耐えられるだけの時間の余裕は考えておかねばなりません。

「調停が不成立に終わった場合どうされますか」、と調停委員から聞かれることが多いと思います。
「仕方ないのであきらめます」という答では、決意自体を疑われることになりかねません。「今はこの調停で勝つことしか考えていません」とか、「裁判になっても自分の主張を通します」という毅然とした態度のほうがよいでしょう。
あくまで譲歩するのは最後の最後と思っていてください。

覚えておきたいのは、調停委員のスタンスです。
調停委員は、離婚を推進する立場ではありません。
お互いの言い分を聞いてどちらが正しいかという、行司の軍配をあげるような立場でもありません。
調停委員に求められるのはあくまで「公平」であることです。
たとえどちらかの非が明白であったとしても、やり直しがきくのであればやり直したほうが良いという立場です。
ですから、余計に申立人の毅然とした態度が重要となるわけです。

申立人が離婚は当然として、慰謝料・養育費などの要求に重きを置いているのに、調停委員にとって、そもそも離婚自体するべきかどうか判断がつきかねるようなことでは、調停の入口のドアから中に入れないも同然です。
「申立人の意志が固く、修復不可能。離婚もやむなし」という大前提の結論を早期に得るために、毅然とした態度、万全の準備で望みましょう。

離婚調停は約1カ月おきに行われますが、決着するにしろ、不成立に終わるにしろ、その回数の平均は3回くらいと言われています。
戦いの場と思えば先制攻撃がいかに有効であるかは、言わずと知れています。
相手方が「いったい何を言われるんだろう。まあとにかく行かないと仕方ないか。」というような漫然とした姿勢で臨んでいる場合、一気に叩き潰すくらいの迫力で臨みたいものです。
少なくとも、2回での決着を目標としましょう。

調停に望む準備

大方針を決め、申立て書類を作る
まず大方針を決めることです。
ここでは円満調停の話は抜きにして「離婚したい」方に絞ります。

自分の考える離婚の主原因と、親権・養育費・慰謝料・財産分与の離婚条件を決めます。
離婚原因が相手の不貞行為や暴力などで、はっきりとした証拠がある場合は、自信を持って臨めるでしょうが、性格の不一致や言葉の暴力などが原因の場合、双方にはっきりと離婚の意思がなければ結論が長引くケースも出てきます。

そのような場合は、予め専門家に相談したほうがよいでしょう。
離婚条件の金額についても、見当が全くつかない場合は専門家に相談してください。

注意したいのは「法外な要求をしない、または譲り過ぎない」ということです。
いくら相手に腹が立つといっても「1億円の慰謝料をよこせ」というのは、その半額にしても現実性がありません。
また、逆に少なすぎることは、お互いの譲り合いで進められる調停の途中で「やっぱり、もっとください」という結論にはなりにくいものです。
最初から「せめて最低限でもこれだけは」という要求を出してしまったら、それ以上にはならないということは覚えておきましょう。

また、もし申立人が財産分与を払って妻と離婚したい夫である場合、家も土地も預金も妻に全部譲るなどとすれば「そんなにまでして別れたいのは、きっとなにか理由があるんだろう」と痛くもない腹をさぐられることにもなりかねません。

つぎに調停を始める時期と、想定される決着までの期間を予測します。
通常、申立てから1〜2ヶ月の間に第1回目がスタートし、その後1カ月おきに行われることになります。

すでに別居している、あるいはこれから別居して調停に入る場合は、特に妻の場合は生活費を確保できないままということになると、「兵糧攻め」に合うこともあり、途中でギブアップをせざるをえない羽目になってしまいます。
そのための資金確保はしておかなければなりません。

さて、申立て方法ですが、これはあちこちのHPなどでふれていますので、詳細はそれを参考にしてください。
夫婦関係調停申立書の事件名に「離婚」と書き入れ必要事項を記入します。
(裁判所HP http://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/syosiki/index_kazityoutei.html )
記入例もあります。

「申立ての実情」の欄は7行程度ですので、要点のみ簡略に箇条書きでまとめて、夫婦の住所地の管轄の家庭裁判所に提出します。
すでに別居している場合は相手方の住所地の管轄の家裁になります。
遠距離の別居の場合は、こちらから遠方に出向くことになりますので、計画性とそれなりの費用が必要になります。

申立書は提出する前に必ずコピーをとっておいてください。
このあと作成する準備資料との間に申立内容と矛盾がないようにしなければなりません。

主張をうまく伝えるための資料作り

調停は1回当り2時間程度ですから、自分に与えられる時間は1時間未満と考え、理路整然と話をできるだけの資料作りが必要です。
「1回目はとにかく時間いっぱいを使って相手のひどさだけを聞いてもらおう」などと、何も準備していないで行って、ただただ長々と相手に対する不満ばかりぶちまけていたりすると、話があちこちに飛んで、「言いたいことがたくさんあるのは分かりますが、結局あなたはどうしたいのですか?」などとたしなめられることもあるでしょう。
そんなことのないよう、自分にとっても話しやすく、相手にも読みやすい資料作りが不可欠です。

自筆のものより、ワードなどのパソコンソフトで作成したほうが、読むほうにとっては読みやすいのは言うまでもないことです。
作成上注意すべきなのは、文字フォントとページ設定です。
字体は明朝が良いでしょう。
画面で見やすいのはゴシックですが、ゴシックは印刷すると線が太く読みにくくなることが多いようです。文字の大きさは12ポイント程度が良いと思います。
通常ワードは10.5ポイントでデフォルト設定されていると思いますが、調停委員はお年寄りが多いですから、小さな文字は読みづらいことがあります。

男女1名ずつの調停委員が進行しますので、どちらかの委員がしゃべっている間に片方の委員が資料を読んでくれるようなことになると思います。

それでは具体的にどんな資料を作るかです。
おもに1.大方針、2.当事者資料、3.離婚原因の詳細の3つに分けます。

まず1.大方針の資料です。
「申立人私○○○○は、相手方○○○○と離婚したい」旨、とその理由を簡単に、
「不貞行為」「度重なる暴力」等々、及び具体的解決方法、「慰謝料○○万円、財産分与○○○○、親権、養育費子供一人当たり月○○万円」、その他の希望事項等。
申立書の内容と重なりますが、自分の意思を示すためにもはっきりと書いたほうがよいと思います。

なぜすでに申立書に書いてあることを再度書かなければいけないのでしょうか?
それは、申立書を書いた日からひと月以上もの時間が経過すると考えの変わる方もいるからです。
ただ、申立書に記入した時点と多少の事情の変化があり、内容を変更しなければならないとしても、思い悩むことはありません。
そんなときは、申立書の内容からこのように変わったとはっきり調停委員に伝えましょう。

この内容は調停の目的そのものの要約ですから、ひとつひとつの項目それぞれに相手方の回答が必要です。
離婚するのかしないのか、理由のひとつひとつを認めるのか、慰謝料・養育費その他の解決方法についてどうなのか、それを口頭だけで調停委員に伝えて、調停委員が記録して、相手方に伝える段階で正しく伝わらないこともじゅうぶんありうることですから、面倒かもしれませんが、最も重要な作業なのです。
相手方の主張が分かれば、それも簡単に書いておけば、より分かりやすくなると思われます。

次に2.当事者資料です。
これは当事者と家族のプロフィール・簡単な財産内容などの資料と、夫婦の年表の2つです。
プロフィール資料に必要なのは、申立人・相手方の氏名(ふりがな)・生年月日・住所・電話番号・職業(できるだけ詳細に)・年収・などです。
子供がいれば名前、男女別・年齢・学校・同居別居の区別等。
あと、住宅(持ち家・借家の別)・不動産・預貯金等の財産状況です。

次に年表です。
夫婦の出会いから、結婚、現在に至るまでの事件を時系列で、1項目あたり1,2行で簡単に書きます。
結婚、子供の誕生、離婚原因となる出来事の発生などがその内容となります。

3番目は3.離婚原因の詳細資料です。
この資料で最も大事なことは具体性です。
1.の大方針で書いた離婚原因は、法律の条文にあるような一般的な表現です。
これに対し自分には実際どんなことがあったのか具体的に示します。
3.の資料に信憑性と説得力を与えるための大事な資料なのです。

これもできるだけ時系列で、長々とした文章にならないよう、できれば箇条書きにして読む人の立場で考えて書きましょう。
暴力があったのであれば、ただ「髪をひっぱられた」という表現だけでなく、例えば「○年○月○日、夜10時頃酒を飲んで帰宅して、浮気について問い詰めたところ、逆上して子供の前で髪を引っ張られ、引きずられた。」
と状況説明を入れれば、読む側にはかなり伝わってきます。けがの診断書や浮気の証拠資料などがあれば持参するとよいでしょう。
暴言などについても同じように状況説明と内容を入れましょう。

このような作業においては、常日頃の「積み上げ」が有効であることは言うまでもありません。
例えば「浮気の証拠」ひとつ掴むのに違法行為のような探偵社・興信所の隠し撮りビデオで膨大な金額を使うこともありますが、お金を使っただけで結局証拠を掴めなかったこともよくあることです。
これに対し浮気を本人が認めたことをテープに録っておくことや、第三者の前で認めさせる証人作りは犯罪とは言えず、費用もかかりません。

暴力を受けた場合には医者の診断書を確実にとっておいたり、暴言をテープにおさめることや、日記として記録すること、メール内容や着信履歴の保存、借金の場合は通帳や請求書の写しなど、厳密に言えば裁判の証拠となるかならないかに関係なく、できる限りの手は尽くしてください。
調停の場でビデオを検証するようなことはないでしょうが、今後裁判に進んだとしても勝ち目はないと相手方を屈服させられる材料にするための効果は、計り知れないものがあります。

最低でも以上の資料を作って第1回調停に臨んでください。
これらの準備は自分が理路整然と話ができる手助けとなるばかりでなく、何より調停委員や相手方に対する強い決意表明を示す武器となります。

当然、できた資料はコピーを2部作って調停委員に渡します。
第1回の調停ではまず申立人が自分の希望やこれまでの経緯などを聞かれ、それを相手に伝え、また相手の答を聞くという通常2往復となります。

せっかくがんばって作ったものであっても、もし、調停での申立人の話や資料に、それまでの夫婦の話し合いと比べて何ら目新しいものが出てこなかったような場合は、相手方に完全に舐められてしまうことも考えられます。
申立人がそれまでにいつも相手に言いくるめられているような場合は、できた資料を専門家に見せて相談を仰ぐことはきわめて有意義なことです。
自分は単なる「性格の不一致」としか思っていなかったことが、実は重大な離婚事由に当ることも往々にしてあるからです。

申立て書類提出から第1回調停まで1ヶ月以上あるでしょうから、いったん資料を作っても何度も読み返し、何度も手を加えればより良いものができるでしょう。
これ以上ない資料作りができたら、資料をもとに30分程度で自分を主張できるシミュレーションを繰り返してください。
本番のつもりで何度も行えば、調停委員が何を質問してくるか、相手方がどう出てくるかの新しい発見ができることもあります。

以上の資料のほか、当日にコメントを求められたり、相手がこう言ったときにこう応えるというための自分用のメモを作成しておきましょう。
どんな言い分にもうろたえることなくこちらの回答を準備しておくことで、相手の立場はどんどん悪くなっていき、こちらの勝利が近づくのです。

調停本番当日

調停の場での心がけ=服装・態度など

まず身なりからです。
見かけと人間性は関係ない、とお思いかもしれません。
しかし、自分の人生を左右する大きな闘いに挑むのに、つまらないことでマイナス材料を作ることがいかにばかばかしいことであるかを考えて、割り切ることが必要です。
もちろん、調停委員には公平が求められますので、建前においては偏見で左右されないことは大事なのでしょうが、近い距離で人と対面で話すときに一切の感情に左右されない人などおそらくいないでしょう。

それでは、どんなことが他人に与える印象を左右するのでしょうか?
特に若い方には、どのようにしたら相手に好印象を与えられるのかまでは行かなくとも、悪印象を与えずに済むのかについての感性は、欠けていることも多いかもしれません。

調停委員は60代前後の、若い方にとっては父母の年齢と思えばよいでしょう。
若い女性の場合、両親にどんな服装をとがめられたかなどを思い起こせば、まず、ヘソを出した短いTシャツやキャミソール、穴ぼこだらけのジーンズなどは論外というのは理解できると思います。
お年寄りの目線で考えれば、長く伸ばした爪にマニキュアやネールアートなどをしていたら、もし相手が「妻はいっさい家事をしない。」などと主張したときには、調停委員がなるほどとうなづける好材料を与えることになります。
指輪、ピアスなどもなるべく避けたほうがよいのは当然でしょう。

男性の場合でもあまり華美、或いはいい加減な服装をして、「真面目なサラリーマンです」とか「浮気などいっさいしていません」などと主張しても説得力に欠ける場合も出てくるかもしれません。
自分好みのファッションには程遠くても、なるべく質素ないでたちが無難でしょう。

次に調停中の姿勢や態度です。
最初に心をこめて「お世話になります。よろしくお願いします」と一礼すれば自分の気も引き締まるでしょうし、悪い印象を持たれることはありません。
いくら調停委員が気さくで親しみやすいおじさんおばさんだったとしても、また「楽にしてください」と言われたとしても、本当に楽にしてはいけません。

男性の場合、足を大きく開いてそり返って座ったり、腕を組んだり、目をつぶって相手の話を聞くなどもってのほかです。
女性も最近、軽くひじのあたりに手を置くように腕を組むクセの持ち主が多いようですが、好ましくありません。
面接試験と思えばよいかもしれません。

言葉遣いについても、いわゆるタメ口では、せっかくよい資料を提出しても台無しになってしまいます。
おそらく自分より若い調停委員が登場することもないでしょうから、少なくとも人生の先輩に対する言葉遣いを心がけてください。


自分が口下手なことを心配している方、相手に弁護士がついているのを心配している方、その必要はありません。
ごくふつうに考えてください。
極端な例かもしれませんが、聞くほうが口をはさめないほどペラペラとよくしゃべる人と、不器用を絵に描いたようたどたどしくしゃべる人のどちらの味方をしたくなりますか?

また別席調停なら弁護士にやり込められることもありません。

涙を見せることは一向に構いません。
悲しく悔しいときに涙が出るのは自然なことです。
ただし、行き過ぎると精神的に弱すぎる、または演技と見られかねません。

調停委員にとって、どちらの言い分が正しいのか判断に迷うこともあります。
感情的になってまくしたてたり、言葉を荒げたりするようなことはマイナスの判断材料にもなりますので、たとえ予想外のことがあっても冷静に対応できる心の準備が必要です。

第1回目調停の進め方

いよいよ本番です。
当日、家裁へは少なくとも15分前に到着できるよう、予め交通機関や時刻表などは調べておいてください。
調停は同日同時刻に何件も行われ、午前午後とも予定がたて込んでいる裁判所が多いのです。
「遅刻」などは、何ひとつ有利に働く要素にはなりえません。
家裁に到着したら受付を済ませ、申立人控室で待機します。

最初に申立人から調停室に呼ばれます。
氏名を名乗り、一礼挨拶をして着席すると、相手方との同席を希望するかを聞かれます。
相手方にすぐ近くで聞かれて心が乱れる、または罵り合いになる恐れのある同席はとりあえず避けたほうがよいでしょう。
別席調停が一般的なので、調停委員自身も同席調停には慣れていません。

持ち時間は30分程度で、申立人と相手方の2往復、合計2時間が通常の形です。
こちらの主張を正確に相手方に伝えてもらうことが最低限の目的です。
用意した資料を一部ずつ男女の調停委員に渡し、資料に沿って冷静に早口にならないよう話してください。
調停委員によっては質問によって話を進めますのでやり方に従えばよいでしょう。

最初に「離婚したい」という結論とその理由を述べてから詳細の説明をします。
だらだらと説明が長くなって時間が足りなくなり、調停委員に「結局あなたはどうしたいのですか?」などと聞かれることを考えれば、まず自分の意思を伝えておくことが重要です。

不貞など、相手に確実に非がある場合には、調停委員から相手方に対し、「あなたに勝ち目はありませんよ」と言ってもらうくらいのことを目標としたいものです。
それまでは単なる夫婦間の揉め事であったことが、第三者から自分の非を責められた相手方のダメージは計り知れません。

「何とかなるだろう」などとタカをくくっていた相手方が用意していた言い分をひとつでもふたつでも引っ込めさせることは、大きな精神的打撃となります。
相手を諦めさせることが勝利を引き寄せることになるわけです。
この最初の30分がいかに重要かお分かりいただけると思います。

最初の30分のあと、交代で相手方が調停室に呼ばれ、調停委員から申立人の話を伝えて、それに対する相手方の意見を聞くことになります。
この間申立人は控え室で待つことになるわけですが、ここで気を緩めることなく、先ほどの復習と次の予習をします。
特に調停委員から何を聞かれどう答えたかや、自分の言ったことに対しての調停委員の感想などを記憶の新しいうちにできるだけ克明に記録してください。
あとで専門家に見せるときなど、次回の対応に役立つ知恵を与えてくれることもあります。

また、その後の30分のための予習も時間が許せば行ってください。
ああ言えばこう言う相手方の性格を一番熟知しているのは申立人なのですから、どうやって相手方の逃げ道をふさいでいけるのかが勝負の大きな別れ道となります。

2回目の入室で相手方の言い分を聞くことになります。
相手の言い分に対する大半の回答は、予め準備した『当日メモ』で用意できていなければなりません。
相手方の回答に全く予期していなかったことが出てきて、うまく答えられないもあるかもしれません。

その場合は、安易にその場で判断して自分なりの答を出すよりは、即答を保留して宿題として持ち帰り、次回に答えるほうが無難でしょう。
どう答えるかについては、専門家に相談して判断してもらうことも考えてください。

2回目以降の進め方、調停の終わり方

相手方の回答に対する申立人の考えを、再度相手方が入室して聞くことで、第1回目の調停は終りです。
相手方が回答を保留した場合、または慰謝料・養育費などの支払を相手方が受け入れ、金額だけが決まらない場合、相手方には「次回まで決めてきてください」というような宿題が与えられ、次回の開催日時がお互いに知らせられます。

慣れないことが終わったら、どっと疲れが出るでしょうが、できるだけ記憶の新しいうちに当日のやり取りを記録しておき、もし、次回持ってくるような宿題を与えられたときは早めに済ましておきます。
また、できるだけ時間をおかずに次回の対応を専門家に相談するのもよいでしょう。

2回目以降の調停は、約1ヵ月後の同じ曜日に行われ、男女同じ調停委員が担当することになります。
日程は調停委員の勤務スケジュールで決まることが基本のようですので、その後も曜日だけは同じになるようです。

前回から1ヶ月経って、考え方に変化はあったか、誰かと相談をしたかなど、初回と同じように双方の主張の合意点を探る形で進められます。
もし、申立人の主張を相手方が大半のむ形で第1回目が終わった場合は、第2回目で、たとえ慰謝料・養育費などの具体的な金額が決定しなかったとしても、審判に移行して審判官の判断を仰ぐこともできます。
離婚そのものに合意しない、または親権がどちらにも決まらないなどの決定を審判に頼ることは難しいことになります。

お互いの主張が平行線になってきた、或いは全く対立した場合は、調停委員から「調停案」が提示されることもあります。
最近は離婚調停の件数が非常に多くなっていることもあり、相手方が全く話し合いの土俵に乗らない場合や、申立人が一切自分の主張を譲らない場合など、2回、3回目で不成立となるケースも多いようです。

しかし、基本的に当事者同士が話し合いを続けたい場合は、調停委員が終了を勧めたとしても同意する必要はありません。
当事者同士が納得することが最も望ましい解決方法であるからです。

もし、1,2点の対立点だけを残し、解決せず、その後調停外で当事者が冷静に話し合えるのであれば、調停を不成立にして、その後の協議による離婚とすることも考えられます。
そのような場合でも調停をしたことが無駄に終わったのではなく、全く話し合いにならずに始まった調停が、お互いの論点を絞る手助けとなったということでしょう。

調停でお互いの合意が成立したら、その結果は「調停調書」という形で文書化されます。
双方とも100%満足のいく解決ではないにしろ、法的に強制力のある文書ですので、その内容に従うことになります。

また、お互い合意を見ることなく不成立に終わった場合、現状すぐそのまま裁判に移行することはそれほど多くないようです。
調停の場でお互い意地の張り合いによる緊張感が、調停が終わることによって解けてしまい、「戦いすんで」の状態になると、その後話し合いもスムーズに進んで協議で解決できてしまうことも意外と多いようです。

1年後、2年後に夫婦の生活の前提が変わることが予想されるような場合、調停委員から時間をおいて考え直すような提案のあることもあります。


裁判を不可能と思ってはいけない

もし相手方が一切妥協せず、調停が不成立に終わりそうな場合はどうしたらよいでしょうか。

相手方が、「まさか裁判まではしないだろう」という気持ちで、一切の要求を拒否した場合、自分も徹底的に闘うと言ってはみたものの、「裁判」という言葉は重くのしかかってきます。
その弱気を見透かされては、相手の「ごね得」ということもじゅうぶん考えられます。

このとき一番気にかかるのが、解決までにかかる時間もさることながら、費用の問題でしょう。
しかし、そんな理由でいっさい申立てた側があきらめ、相手方が従わないという前例ばかりを作ってしまえば、「調停の申立は無視してよい」という考えが定着して、ひいては調停の意義を失うことにもなりかねません。
では、どうするか。

裁判には弁護士が必要という思い込みがあるようですが、必ずしもそうではありません。
民事訴訟あるいは、離婚訴訟などの人事訴訟においては「本人訴訟」という方法があり、弁護士を必ずしもつける必要はありません。
裁判の訴状は本人の記入が前提となっています。

弁護士をつける場合、支払い方法を分割にすることもできますが、最近では弁護士が代理人とならず、アドバイザーとして本人訴訟のバックアップをする方法をとってくれるようなこともあるようです。
その場合には費用もかなり押さえられると考えられます。

ここでは、裁判については触れませんが、裁判も視野にいれることで相手に対するプレッシャーが大きく変わってきますから、決して不可能なことではなく、独力でも可能なのだということは覚えておきましょう。

いろいろと手を尽くしたが、不幸にも不成立となった場合には、そのことを証明するために『不成立調書』を申請してください。
調停前置といって、離婚訴訟は必ず調停を行ってからでないと裁判はできません。
調停を経たことの証明になるのが不成立調書です。
申立人にとって失うものが何もないのであれば、裁判を恐れる必要さえありません。

いずれにしろ、もし弁護士を雇わなければ自分の手に負えないと判断した場合においても、報酬についてはよく確認してから依頼してください。


調停委員の当たり外れについて、本やブログなどでよく目にすることがあります。
「昔の価値観を押し付ける」とか「話を聞かずに早く終わらせようとする」など数々の不満が上がっています。

私の場合、調停を経験された方には、必ず調停委員の評価を聞くようにしていますが、意外とこのようなことはありません。
むしろ「親切だった」「話を分かってくれて、相手に説得してくれた」という良い評価のほうが多く聞きます。
つまらない情報から、不信感をあらわにするような態度だけは少なくとも避けるべきだと思います。

全体を通して、調停に臨むにあたり私が最も大事なポイントと思われることを2点申し上げておきます。

ひとつは、「準備を万全にする」ということです。
受験勉強に例えるのは変かもしれませんが、何事も同じだと思います。
これだけがんばって準備したのだから、という気持ちがあればあるほど自信を持って本番に臨めることは言うまでもありません。
何も準備していない人とは大きく差のつく結果になると考えてください。

ふたつ目は「無知の恐れからの脱出」です。
人間の恐怖感は「知らないこと」から発生するものが多くを占めています。
もちろん大半の方は普通に生活していれば、一生裁判所も調停も知らないままであっても支障のない世界です。
知らないことをする、知らないところに行くことには恐れがつきまとうものです。
それを取り除くためには、まず自分で知る努力をすること、それに周囲の人や専門家に聞き、相談することをためらわないことです。
分からないときには人の助けを借りればよいのです。
気兼ねは後悔につながると思ってください。


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